50歳を越えて、役職定年を意識し始めた頃、ふと自分の将来について考えました。
「会社という看板を外したとき、自分には何が残るのだろうか?」
そこで、かねてより興味があった、法律系資格を取ろうと思い立ちました。
最低限、行政書士があれば、個人事業主としての事業所得(青色申告)は期待できる。
さらに、今の勤務先との関係を良好に保ち、顧問やアドバイザーとして請負契約で残る。
その上で、マイクロ法人を立てて、家族の社会保険まで用意できれば、さすがに家族ともども、年金受給年齢までサバイブできるでしょう。
いずれも、定年後の選択肢を増やすための、現実的な布石です。
そして、学習を始めてみると、思ったよりも法学の適性がありそうだ、と実感できました。
(とはいえ、行政書士の模試で記述抜きで150点前後を取れた時が1、2回あった程度ですが……)
行政書士のサブクエストとして受けた宅建士試験も、なんとか一発合格。
結果、法律系の勉強は続けられそうだな、という、漠然とした自信ができました。
そこで、思い切って弁護士まで目指せる「予備試験(司法試験の予備試験)」まで手を広げることにしました。
(正直、これ以上、行政書士の肢別テキスト、合格革命や LEC S式講座の肢別アプリを何周もする勉強をしたくなかった、というのもあります(笑)。50歳を越えると、目が辛いんですよね。)
あの忌まわしき行政書士試験の記述式対策にもなるだろう、という狙いもありつつ、です。
2026年2月追記:初受験の行政書士試験も、特に高得点ではないですが、何とか一発合格できました。

しかし、私も長年、中小メーカーの営業として、ビジネスの世界に身を置いてきた人間。
いきなり、100万円前後の受講料を払うような、ハイリスクな投資は躊躇します。
なにごとも「スモールスタート」によるトライ&エラーが安全策。
ということで、「10万円前後」という予算感で、予備試験の一通りの知識が学べる講座はないか。
徹底的にリサーチした結果、最終選考に残ったのが「スタディング」と「LEC S式入門講座」の二つでした。
今回は、この二つの講座を比較・検討した結果をシェアします。
10万円の壁をクリアする2大講座、どっちにする?
予備試験の講座といえば、伊藤塾やアガルートなどが有名ですが、これらは数十万円〜百万円クラスの本格的な投資が必要です。
一方で、「まずは基礎知識を固めたい」「自分にできるか試したい」という層にとって、10万円を切る価格設定は非常に魅力的です。
| 項目 | スタディング | LEC S式入門講座 |
| 主なターゲット | スマホ・隙間時間中心 | 講義の質・PC/タブレット中心 |
| 学習管理 | AIによる自動進捗・復習管理 | 自己管理(自由度が高い) |
| 論文対策 | 別途上位コースが必要 | コース内に基礎作法が含まれる |
| 教材形式 | 完全デジタル(WEB/アプリ) | PDF(印刷前提のレジュメ形式) |
| 価格(税込) | 89,100円 | 89,800円 |
どちらもミニマムなら約9万円。価格はほぼ互角です。
最大手の伊藤塾はもう一声、フルセットなら150万円~といった感じ。収入やご家庭に恵また方でないと、なかなか思い切れない、かなぁ。ですよねぇ。
逆に大企業にお勤めの方で十分な貯金・資産がある方、あるいは共働きでリスクも取れるよ、という方なら、最初から伊藤塾を検討してみるのも一案です。
実際、高校時代から予備試験に挑戦~10代で早々に予備試験に合格するような若者も、伊藤塾を使っていて、合格実績は突出しています。
例1)2025年度 司法試験合格体験記 慶應義塾女子高等学校3年 R.Fさん
例2)2020年 高校在学中に学習1年で合格。
例3)河野 玄斗さん <予備試験合格時:東京大学医学部3年在学中>
充実した生活を送っている高校生の「合格体験記」は社会人の学習環境や制約と重なる部分があり、その点においては参考になります(笑)。
徹底比較①:スタディング(STUDYing)
スタディングの最大の特徴は、「スマホ完結型」としての完成度の高さです。
スタディングのスマホアプリとしての使い勝手は圧倒的
スタディングは、単に講義動画が見られるだけではありません。
「学習フロー」機能が秀逸で、今日やるべき講義、解くべき問題が自動的に提示されます。
ゲームのクエストをこなすような感覚で進められるため、学習の継続しやすさはピカイチ。
今どきの言葉でいえば、ゲーミフィケーション、です。
スタディングの「スマート問題集」とAI機能(アプリ付き)
インプット(講義)の直後に、アウトプット(問題演習)ができる仕組みが組み込まれています。
特に「AI問題復習」機能は、自分が間違えた問題や、忘却曲線に合わせて復習すべきタイミングをAIが判断して出題してくれるため、無駄がありません。
スタディングの気になる点(まずは、予備短答合格を目指すなら…)
「基礎コース(約9万円)」の場合、短答(マークシート)対策は充実していますが、本格的な論文(記述)対策の本格的な演習は上位コース(総合コースなど)に含まれるような構成になっています。
とはいえ、まずは「知識を入れる」ことに特化するなら割り切れます。
まあ、フルタイムの社会人で論文試験を一発合格、なんてバケモノ(レアキャラ、ほぼ出会わない、という意味も含めて)ですから、自分の適性を試すという意味でも、ベストバイの一つでしょう。
よく言われる「全法律科目について、基礎のインプットをまずは一周する」は容易に達成できます。
とりあえず、行政書士合格(できそう)→予備試験短答突破、と目標を段階的に刻むなら、スタディングで十分です。
徹底比較②:LEC S式入門講座(田中正人講師)
大手予備校のLECが、「スマホ学習」に特化して開発したのがこのS式(エスシキ)です。
大手予備校の「講義力」を安価に
講師は、予備試験上位合格者であり、東大法学部~社会人経験も持つ田中正人講師が担当しています。
1ユニット15分完結、隙間時間に特化していますが、中身は老舗予備校のノウハウが詰まった本格派です。(無料お試しで民法講義を5回分、視聴できます)
田中先生は LEC の渋谷校で毎日、何らかの教室講義をしているようなベテランですから、オンラインだけの講師とはなんというか、細部のレベルが違います。
重要な部分は少し違う表現に変えて繰り返してくれたり、などなど。
それでいて、語りが自然なんですよね。
ここで特筆すべきは、約9万円のセットの中に「論基礎編(論文の書き方)」まで含まれている点です。
インプットだけでなく、論文作成の基礎作法までこの価格でカバーしているのは魅力的です。
LEC S式入門講座のテキストはPDF(印刷は別料金)
「講義メモ」と呼ばれるオリジナルテキストがPDFで提供され、画面上に映し出されます。
講師が画面内のテキストにマーカーを引いたり書き込んだりしながら進むため、スマホ画面を見るだけで完結します。
教材が PDF であるということは、文字情報も含みます。
ということは……。
ただ、スマホだとちょっと読むのは厳しいでしょう。
印刷したら、テキストにもなる本格派の A4 レジュメですから。
LEC S式入門講座の気になる点
動画配信システムは「Webブラウザで動画を見る」形式に近く、スタディングのような「アプリによる進捗管理・AI演習」といったテック要素は弱い。
また、紙のテキストが欲しい場合は別途3万円ほどかかるため、完全ペーパーレスに慣れていないと戸惑うかもしれません。
とはいえ、田中講師の講義は大変、魅力的です。
もし、30年若く、パラレルワールドで東京で学生生活を送っているなら、親に頼んで渋谷校に通学したいくらいです(笑)。
結論:スタディングと LECのS式入門講座、あなたの学習スタイルはどっち?
両者を比較した結果、私は以下のように結論付けました。
1. 「スタディング」がおすすめな人
- スマホひとつで完結させたい人:満員電車でも片手で勉強したいならこれ一択。
- ゲーム感覚で進捗管理したい人:プログレスバーが伸びていくのが快感なタイプ。
- まずは短答(マークシート)突破を目指す人:一問一答アプリの出来が良いです。
2. 「LEC S式」がおすすめな人
- 「授業」の雰囲気を重視したい人:画面越しでも「先生に教わっている」感覚が強い。
- PCやタブレットでの学習が中心の人:PDFテキストを大画面で開きながら受講するスタイルに向いています。
- 初期投資内で論文の基礎まで触れたい人:コースに含まれるカリキュラムの網羅性はLECに軍配が上がります。
「最低限、行政書士には受かっておきたい」人にもおすすめ|記述30点~
予備試験の勉強を「かじっておく」ことは、実は「行政書士試験には最低でも受かっておきたい」という人にこそ、おすすめです。
理由は二つあります。
一つは、ライバルの存在です。
行政書士試験の会場には、実際に多くの予備試験受験生が「力試し」として紛れ込んでいます。
伊藤塾や辰巳も、司法試験の受験生に行政書士試験への挑戦を勧めていますからね。
彼らは、行政書士専願の受験生が苦戦する問題を、(行政法の択一範囲は、求められる細かさが違いますが…)、基礎知識のレベルで解いてしまいます。
もう一つは、行政書士試験の合否を分ける「記述対策」として極めて有効だからです。
行政書士の記述は、300点満点中、3問・計60点もの配点があります。
象徴的だったのが、2025年度(令和7年度)行政書士試験の記述式(問45)で出題された「日常家事の代理権」の問題です。
この問題は、妻が夫の時計を無断で売却した事例で、判例独特の言い回し(民法110条の趣旨類推適用)が問われました。
多くの行政書士受験生向けスクールや解答速報では、「これは書けない」「できなくて当たり前の捨て問(難問)」と評価されました。
しかし、これが予備試験受験生であれば、評価はガラリと変わります。
司法試験・予備試験のカリキュラムであれば、民法761条やこの判例の論理(「日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるとき」云々)は十分に入門段階でも学習範囲内だからです。
(注:実際、私の場合、この問題のおかげで一発合格できた、ともいえます)
行政書士試験で「捨て問」とされる問題を、確実な得点源に変えられる、かも知れない。
そのためにも、スモールスタートで一段上の知識に触れておくことは、結果として行政書士試験の安全圏を確保する賢い戦略になります。
行政書士試験の記述で、たとえば30点~を安定して狙えるのならば、合格目標まで見える景色も変わるでしょう。
最後に:社会人として働きながら資格に挑戦するということ
ここまでの内容をまとめておきます。
わたしもそうですが、40代、50代からの挑戦は、残された時間との戦いでもあります。
「どの教材が完璧か」と悩み続けるよりも、まずは10万円以下のスモールスタートで、法律の世界に飛び込んでみる。
もし「肌に合わない」と感じたら、その時に撤退すればいい。
結果として、
「最低限、行政書士だけ取っておいて、定年後に備えよう。」
「プラスで宅建士があれば、田舎の自宅を処分、あるいは賃貸に出すとき、大きなリスクを回避できそうだな。」
といった、行政書士&宅建士合格といった、中間的なゴールに落ち着いたとしても、大成功です。
それができるのが、この価格帯の最大のメリット。
さらに法律分野に適正があり、行政書士試験で手応えがあるのなら、予備試験の学習も、知的好奇心を満たす最高の趣味、そして第二の人生の武器になるはず。
最低、100時間、200時間と学習してみないと、自分の向き不向きはわからないですからね。
ご自身の生活スタイルに合わせて、「スモールスタート」を切ってみてはいかがでしょうか。
例年、予備試験短答は7月下旬、行政書士試験は11月上旬と時期もずれているので、思い立ったが吉日です。

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