「代理人について決する」?|意味分からん、と思ったので調べてみた【個人的学習メモ】

行政書士試験合格

代理人について決する、とはどういう意味なんだろう?

民法の学習過程で、何度音読しても意味がわからない、と思ったので整理してみました。

【条文】


民法 第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

※ 有料版 Gemni、ChatGPT を用いて作成した個人的学習メモです。条文を引用するなどしてハルシネーション回避に努めておりますが、その点はご了承ください。

「代理人について決する」?|意味分からん、と思ったので調べてみた

「代理人について決するものとする」という法律特有のフレーズは、確かに分かりにくいですよね。

これは、「その取引の現場で、実際に頭を使い、心で感じて、行動した『代理人』を基準にして、物事を判断しますよ」という意味です。

遠くにいて直接関与していない本人(頼んだ人)の心の状態は、原則として考慮しません。

これを理解するために、各条項を具体的な物語で見ていきましょう。


【1項と2項の原則】心の動きは「現場の代理人」で判断!

1項と2項は、代理人が取引の現場にいる「当事者」そのものである、という考え方が基本にあります。

1項の解説(代理人が相手方にした意思表示)

【条文の趣旨】

代理人が何かを買う・売るなどの意思表示をした際に、勘違い(錯誤)をしたり、騙されたり(詐欺)、脅されたり(強迫)したかどうかは、すべて代理人本人の心の状態で判断します。

【物語①:代理人が騙されたケース】

  • 本人(Aさん): 倉敷在住の美術品コレクター。東京の骨董市場のことはよく知らない。
  • 代理人(Bさん): Aさんに雇われた、東京の骨董品専門家。
  • 相手方(Cさん): 骨董品店の店主。

Aさんは、Bさんに「良い備前焼の壺があったら、予算内で買ってきてほしい」と依頼しました。

BさんがCさんの店に行くと、Cさんはただの模造品を「これは室町時代の貴重な壺ですよ」と偽ってBさんに説明しました。

専門家であるBさんは、その巧妙な嘘にすっかり騙されてしまい、Aさんの代理人としてその模造品を買う契約をしてしまいました。

  • この場合:
    • 騙されたのは、現場にいた代理人Bさんです。本人Aさんは騙されていません。
    • 民法101条1項により、「騙されたかどうか」は代理人Bさんを基準に判断します。
    • したがって、Aさんは「私の代理人が騙されたのだから、この契約は詐欺によるものとして取り消します」と主張できます。

逆に、もし代理人Bさんが「これは模造品だ」と知っていたら、たとえ本人Aさんが「貴重な本物だ」と信じ込んでいても、Aさんは詐欺を理由に取り消すことはできません。


2項の解説(相手方が代理人にした意思表示)

【条文の趣旨】

相手方から意思表示を受けた(例:売ってくださいと言われた)際に、何か特別な事情を知っていた(悪意)か、知らなかった(善意)かは、すべて代理人本人が知っていたかどうかで判断します。

【物語②:代理人が事情を知っていたケース】

  • 本人(Aさん): 東京在住のマンションオーナー。
  • 代理人(B不動産): Aさんからマンションの管理・賃貸を任されている倉敷の不動産会社。
  • 相手方(Cさん): 入居希望者。

Cさんが、B不動産に「この部屋を借りたいです」と申込みをしました。

実はその部屋は、台風の時にだけ雨漏りするという隠れた欠陥(瑕疵)がありました。

代理人であるB不動産はそのことを知っていましたが、Cさんには黙っていました。遠くにいる本人Aさんは、その欠陥のことをすっかり忘れていました。

  • この場合:
    • 事情を知っていたのは、現場で申込みを受けた代理人B不動産です。
    • 101条2項により、「事情を知っていたかどうか」は代理人B不動産を基準に判断します。
    • したがって、法律上、本人Aさんもその欠陥を知っていた(悪意だった)ものとして扱われます。後からAさんが「私は知らなかった!」と言い訳することはできません。結果として、CさんはAさんに対して、契約不適合責任などを追及できます。

【3項の例外】本人の心が問題になる唯一のケース

3項は、これまでの原則の例外です。本人の「知っていた」という事実が、代理人の行動に影響を及ぼします

【条文の趣旨】

本人が代理人に「アレを、ああしてきて」と具体的な指示だけをさせて、代理人に判断の余地がない場合、本人が知っていた事情について、「うちの代理人は知らなかったからセーフだ」という言い訳は通用しません。

【物語③:本人が知っていて、代理人に指示したケース】

  • 本人(A社長): ある機械に隠れた欠陥があることを知っている
  • 代理人(B社員): その欠陥のことは何も知らされていない。

A社長は、欠陥を知りつつも、部品取りの目的でその機械を安く買いたいと考えました。

そこで、B社員に「C社に行って、あの機械(製品番号XYZ)を50万円で買う契約書にサインしてきてくれ」と具体的な指示だけをしました。

B社員は、欠陥のことを全く知らずに(善意で)、言われた通りの契約をしました。

  • この場合:
    • 後になってA社長の会社が、「契約したB社員は欠陥を知らなかったのだから、C社は責任を取れ!」と主張できるでしょうか?
    • できません。101条3項により、本人A社長が知っていた事情については、代理人B社員が知らなかったと主張することは許されません。
    • これは、悪意の本人(A社長)が、善意の代理人(B社員)を**「道具」のように使って、不当な利益を得ることを防ぐ**ための規定です。

まとめ

条項状況誰の心で判断する?
101条1項・2項(原則)通常の代理行為現場の「代理人」
101条3項(例外)本人が具体的な指示をしただけの行為「本人」の心が問題になる(代理人の善意は言い訳に使えない)

このように、「代理人について決する」とは、ほとんどの場合、「現場で動いた代理人の心で判断する」ということですが、3項のような「本人が全部知ってて代理人を駒使いした」ケースでは、本人の心が無視できない、という例外がある、と整理すると分かりやすいです。

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