通勤電車に揺られながら「今日の会議、どうしようかなあ」なんてスマホでニュースを見ていたら、ふとこんな見出しが目に飛び込んできました。
「女子高校生、予備試験ルートで司法試験に合格!」
……いるところにはいるんだな、と。
こっちは50代の老眼と戦いながら勉強をしているのに、息子、娘と言ってもおかしくない年齢の子が、司法試験・予備試験に受かる。
「超進学校の天才だろうか?」「住む世界が違うな」と、そっとスマホを閉じたくなる気持ち、痛いほどわかります。
私も最初はそう思いました。
でもね、ちょっと違うみたい。
ネットに転がっている彼ら彼女らの「合格体験記」を読んでみました。
すると、「これ、社会人でも応用できるんじゃないか?」と思えるエピソードもたくさん。
今日は、そんな「高校生の合格メソッド」を、あえて50代のおじさん視点で翻訳し、学習戦略(あるいは、これからの人生の楽しみ方)にどう活かせるか、まとめてみたいと思います。
なぜ高校生が受かるのか?「天才だから」だけでもなさそう
まず、興味の対象を知ることから始めましょう。
令和6年や7年のデータを見ると、予備試験の最年少合格者は17歳とか19歳。
確かに若い。
超絶、優秀であることは間違いないでしょう。
でも、彼らの体験記を紐解くと、共通して浮かび上がってくる「勝因」は、決して生まれ持ったIQだけじゃなさそう。
むしろ、もっと泥臭くて、そして私たちにも真似できる3つの要素がありました。
ざっくりいうと、
- 法律への純粋な「興味・関心」
- 徹底した「スキマ時間」の活用
- 親の援助による「環境(ある程度の課金)」
これ、一つずつ見ていくと、50代の私たちにも十分勝機がある、いや、むしろ大人だからこそ有利な点になるかも知れない。
実際、合格している高校生も、相当、忙しそうなのです。
勝因その1:法律への純粋な「興味・関心」
「勉強」ではなく「推し活」のノリ
高校生合格者の体験談で印象的なのが、とにかく「法律が好き」「裁判に興味がある」という熱量の高さです。
ある子は、本屋でたまたま手に取った憲法の本(伊藤塾の伊藤真先生の本など)を読んで、「基本的人権!」と感動して勉強を始めたそうです 。
またある子は、学校行事やプライベートで裁判所に行って、実際の裁判を傍聴し、「弁護士かっこいい」と憧れを抱いた、とのこと。
そう、私たちが若い頃、ギターにハマったり、車に熱中したりしたあの感覚です。
あるいは、今の「推し活」に近いかもしれません。
彼らにとって司法試験の勉強は、苦しい「暗記地獄」ではない。
知的好奇心を満たす「高尚なゲーム」のようです。
おじさんこそ「法律」を趣味にできないか?
翻って、私たち社会人はどうでしょう。
資格試験というと、どうしても「昇進のため」「転職のため」「食いっぱぐれないため」という、生々しい実利を求めがちです。
もちろんそれも大事ですが、それだけだと心は動きません。
「やらされ仕事」はもうたくさんです。
だからこそ、「法律を趣味にする」という発想の転換をしたい。
六法全書を、難解なルールブックではなく「究極の人間ドラマの脚本」として読んでみる。
「なぜこの契約は無効になったのか?」「なぜこの泥棒は罪が軽くなるのか?」
そこには、ドロドロした人間関係や、社会の理不尽さを解決しようとする先人たちの知恵が詰まっています。
50年も生きていれば、理不尽なことの一つや二つ、経験しているでしょう。
「あの時の理不尽は、法律的にはこう説明できるのか」というアハ体験もあり得ます。
これこそが、大人の学習の原動力です。
高校生が「憲法の人権」にピュアに感動するように、たとえば「民法の日常家事に関する表見代理」にリアリティを持って接してみるのも悪くなさそうです。
勝因その2:徹底した「スキマ時間」の活用
「エスカレーター式だから暇」とも言えない様子
ヤフーニュースのコメントなどで、「付属校の高校生は大学受験がないから暇なんでしょ?」なんて声も見ます。
これも半分正解、半分間違いっぽい。
今の高校生、付属高校だとしても、めちゃくちゃ忙しそう。
学校の授業は夕方まであるし、部活はあるし、定期テストで低い取れば内部進学に影響も。
ボランティア活動やら、自主活動やら、社会見学やら、オープンキャンパスやら。
もちろん、予備試験を受けよう、なんて思う高校生は学業もおそらく優秀でしょう。
とはいえ、高いレベルになれば、そのレベルの中での競争があります。
つまり、「まとまった時間が取れない」という点では、私たちサラリーマンと大差ないなあ、と合格体験記を読みながら感じました。
まあ、学生さんなので、夏休みとか、長期の休みがあったりはしますけどね。
基本は、土日休みで平日は忙しい日々のようなのです。
となると、彼ら、彼女らはいつ、法律の勉強しているのか?
どうやら、「通学中の電車」のようです。
満員電車は「第二の書斎」である、と考える高校生
彼ら彼女らは、揺れる電車の中で分厚いテキストを広げる……なんて無理なことはしていないようです。
スマホで講義を聴いたり、頭の中で「あの判例の要件は何だっけ?」と思い出す(想起学習)トレーニングをしたり。
これ、一番真似できるポイントじゃないかと。
毎日、往復で1時間~をかけている通勤時間です。
スマホゲームやネットニュースのゴシップ記事で浪費するのはもったいない。
まあ、資格試験の勉強をしていても、息抜きは必要です。息が詰まる。
ただ、高校生が単語帳を開くように、私たちもスマホで過去問アプリを開けばいい。
あるいは、耳にイヤホンを突っ込んで、何度目かの入門講義を聴き流す、なんて。
「仕事で疲れてるから無理」、とも言い切れません。
部活帰りの高校生も、学習を「日常のルーティン」にしているようですから。
50代のぼくも、通勤電車を「動く書斎」と再定義しよう。
正直、家に帰ってから勉強するのは辛い。眠い。風呂に早く入りたい。
だからこそ、朝、会社に着くまでに、学習予定の一部を先払いしてしまおう。
それくらいの方が、勉強も続くんじゃないですかね。
何とか2025年に受かった宅建士、行政書士試験の勉強も、それで学習習慣がついた感はあります。
勝因その3:親の援助による「環境(ある程度の課金)」
授業や教材に100万円~をポンと出せるか?
大人が高校生の若さに勝てるとしたら、それは「自由になるお金」です。
いやらしいです。はい。
今の時代、予備試験の合格者の多くは「伊藤塾」などの大手予備校を利用していることは間違いない。
実際、話題になった高校生の合格者たちも、伊藤塾を使っていたようです。
合格体験記にあるので、確かです。
伊藤塾の講座に申し込める、となると、おそらく、そのご家庭は裕福でしょう。
「17歳、18歳のわが子に100万円~の投資」ができる家庭環境。すばらしい。
まあ、本格的な大学受験用の学習塾ならばそれくらいしますし、法律の学習も1年以上の長丁場なので、そんなものといえばそんなものですけどね。
50代の社会人、「大人買い」できるかな?
100万円、確かに大金です。
でも、自己投資として、個人の貯金(へそくり)でなんとかならないか?
50代、会社でもそれなりのポジションに就き、子育てもひと段落した方なら、意外といけるかも。
という考え方(気づき)もアリです。
①それなりの企業に長年勤めていて、住宅ローンも子供の教育費もひと段落した。
②両親は経済的に自立していて、しばらくは大丈夫そうだ。
③共働きで厚生年金も十分にかけてきた。多少の冒険をしても、飢え死にしない。
そんな要件が揃うのであれば、伊藤塾その他、定番のスクールに一括で申し込む、ということも選択肢に入るでしょう。
残された時間、高校生ほど長くないことも確かです。
高校生が司法試験・予備試験に受かる理由|まとめ
ここまでの内容をまとめておきます。
ここまで「高校生の特徴」と応用について考えてきました。
最後に一つ、高校生には絶対に真似できない武器があるとしたら、「人生の修羅場」の経験値です。
まあ、修羅場といっても、いろんなレベルがあります。
会社員である以上、命が狙われたり、路頭に迷いそうになったり、ということまではないにしても、です。
たとえば、民法や刑法は、突き詰めれば「人間同士の揉め事のお話」。
高校生にとって「連帯保証」や「相続争い」、「不当解雇」といった言葉は、教科書の中の無機質な用語に過ぎないでしょう。
よく理解できるなぁ、と、素直に尊敬します。
でも、社会人を何年かすれば、出会うキーワードも多数含まれているのが法律の勉強です。
- 「連帯保証人? ああ、私立高校に入るときにあった、あの紙か…」
- 「相続? そういえば、叔母さんの実家は田畑でもめていたな…」
- 「不動産登記? そういえば住宅ローンを組んだときに司法書士に頼んだっけ…」
こういった想起できる人生のイベントは、いくつもあるでしょう。
法律用語を見た瞬間、具体的な情景がカラー映像で頭に浮かぶ。
これは、法律の理解スピードにおいてアドバンテージになります。
条文の背後にある「人間臭さ」を直感的に理解できるのは、社会人だからこそ、でもあります。
役職定年後、定年後、第二の人生を意識しながら…
個人的には、役職定年、定年退職が見えてきた頃から、会社の名刺に頼らない「個の力」を磨くチャンスが欲しいな、と思い、日々を過ごすようになりました。
もし、予備試験~司法試験に合格すれば、60代、70代は弁護士として「第二の人生」が待っています。
もちろん、合格しなくても、第二の人生は来るわけですが、その時をより面白く、選択肢を増やしておきたい。
60歳を超えて司法試験に合格される先輩もいらっしゃいますから、そう思えば、50代前半はまだ若い、ともいえます。
ぼくも、10代の若者のような好奇心をもって生きていけたら、と心から思いますよ。

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