50歳を過ぎて宅建士や行政書士試験に挑戦~1年でなんとか合格し、さらに司法試験の予備試験を受けることを決めて、肢別問題集を少しずつ、解いています。
その中で、「あれ?」と思った問題を記録として残しておきます。
【問題の再確認】勾留延長に「言い分を聞く機会」はあるか?
問題:被疑者の勾留に関して、裁判官は、被疑者の勾留期間の延長をする旨の裁判をする際、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。
この問題の正解は 【誤り】 です。
最初の勾留(逮捕後の勾留請求)の際には、裁判官が被疑者と対面して言い分を聴く「勾留質問」という手続が必須とされています(刑事訴訟法207条4項、61条)。
しかし、そこからさらに期間を延ばす「延長」の段階では、このプロセスは法律上不要とされているのです。
おかしい。なぜ、これが認められるのか。
根拠条文:刑事訴訟規則153条1項
なぜ「誤り」なのか、根拠となる条文を確認しましょう。
刑事訴訟規則 第153条1項
「勾留期間を延長すべき旨の裁判は、裁判官が、勾留状に延長する期間及び理由を記載してこれに記名押印し、裁判所書記官をしてこれを検察官に交付させてこれを行う。」
この条文を見てわかる通り、勾留延長の裁判は、検察官から提出された資料を裁判官が書面で審査し、問題なければ勾留状に記名押印して期間を書き込むだけで完結する、と読めます。
被疑者を法廷(あるいは接見室)に呼んで、「さらに10日間閉じ込めますけど、何か言い分はありますか?」と聞く義務はどこにも書かれていない。
試験問題としては、これをそのまま、記憶することにします。
でも、やっぱり、おかしいよ。
会社員、あるいは自分で仕事をしている人であっても、3日間(逮捕)ならまあ許せる。
13日はちょっと厳しいけれど、何とか仕事を辞めるほどではない。
しかし、23日間の勾留となると、仕事を続けるのは極めて難しくなり、人生をかけて戦わないといけない。
被疑者の段階なのに、ですよ。
実務の視点と「人質司法」への疑問
受験知識としては「延長に勾留質問は不要」と覚えれば一点取れます。
しかし、刑事訴訟法の理念に照らすと、ここには深い闇、いわゆる「人質司法」の問題が横たわっています。
1. 「チェック機能」の形骸化
本来、身体拘束は「例外」であるべきでしょう。
最初の10日間で捜査が終わらない場合に限って、やむを得ず延長が認められるはずですが、実際には検察官が請求した延長が却下される割合は極めて低いようです。
大河原化工機のえん罪事件を見てもそうです。
しかも、あの件は、類似の輸出案件を別件で逮捕勾留を繰り返しています。(包括一罪じゃないのかな・・・。わかりませんが。)
ぼく自身、海外への輸出に会社員として関わってきたので、あの事件は本当にショックで・・・。
リスト規制とキャッチオール規制の基本知識あたりで、(キャッチオール規制に抵触しそうになければ)リスト規制での起訴は無理筋であると気づくと思うのですが、なぜリスト規制にこだわったのか。
司法試験に合格するほどの人が、なぜ、と。
2. 被疑者の反論権の欠如
勾留延長の判断を下す際、裁判官は検察官が提出した「これこれの捜査がまだ終わっていません」という疎明資料だけを見るようです。
逆に言えば、被疑者側は、どの程度捜査が進んでいるのかもわからず、延長の妥当性について直接裁判官に訴える機会を奪われています。
3. 「自白」を引き出す道具としての延長
日本において、勾留期間は最長で23日間(逮捕・延長分を含む)に及びます。
この長い拘束期間、しかも延長の手続きが密室で行われることが、「認めなければ外に出られない」という心理的圧迫を与え、自白を強要する温床になっているとの批判が国内外から絶えません。
・・・といった話は、当面、折り合いをつけて、予備試験の勉強を続けてみます。
いやー、それにしても、この試験、難しいね。
40歳代で英検1級に合格したし、試験勉強は嫌いじゃない方だと思うけれど、ちょっとレベチです。
続けていけば、いつかは受かるのかなぁ。
受験生としての自分との折り合い
短答対策としては、以下の対比を頭の中で整理しておきます。
| 手続の種類 | 裁判官による陳述聴取(勾留質問) | 根拠 |
| 最初の勾留(10日間) | 必要 | 刑訴法207条4項 |
| 勾留の延長(最大10日間) | 不要 | 刑訴規則153条1項 |
「自由を奪う期間が長くなるのだから、より慎重に本人の話を聞くべきではないか?」という素朴な正義感は大切ですが、試験ではその正義感とは裏腹な「ドライな条文」が正解になります。

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